痛みとうまく付き合っていくテクニック(第6回)

痛みとうまく付き合っていくテクニック(第6回)

体の複雑な機構ゆえに起きる慢性痛の悪循環

 ところが、坐骨神経痛や帯状疱疹などでこれらの神経が傷つくと、神経は過敏な状態となり、その結果、抑制系が十分機能せず、痛みがあまり抑えられなくなってしまいます。

 神経障害性疼痛のメカニズムについて。痛みの刺激があると、その信号は背骨の中にある神経をたどり、頭へ上がっていきます。しかし、体の中にはこの流れを抑える「抑制系」と呼ばれる系もセットされています。つまり、自然に痛みを調節する機能があるのです。「下行性疼痛抑制系」は、脳幹から脊髄に下行する抑制系の流れにより、痛み情報の伝達に抑制をかけます。これは痛みを頭へ過敏に伝えすぎないための機構です。

 このような傷みのメカニズムは、体の中に元から存在しているものです。神経が傷ついて非常に過敏な状態になってしまうと、足が痛い時に同時に背中も痛くなるといったことが起こります。

 例えば、最初に1ヶ所だけ、足なり腰なりが痛かったのに、その痛みが徐々に他の場所へも放散し、広げてしまう。さらに長く痛み続けると、抑制系も壊れていくために痛みが抑えられず、よりダイレクトな痛みとなり、時にはいっそう増幅されてしまうことさえあります。こうして、なかなか痛みが消えず、治りにくい状態になってしまうのです。(高橋)