肺がん疾患啓発キャンペーンの市民講座に行きました(第2回)

肺がん疾患啓発キャンペーンの市民講座に行きました(第2回)

どのような検査が行われ、肺がんだと確定されるのですか?

肺がんは、胸部Ⅹ線検査、喀痰検査、胸部ⅭT、気管支鏡検査などの他、必要に応じて胸水穿刺細胞診などを追加し、がんが疑われる場所から採取した組織や細胞を顕微鏡で観察し、がんであることを確認して確定します。

肺がんが疑われるのは、①咳、痰、血痰、呼吸時のゼーゼー音(喘鳴)、息切れ、呼吸困難、声のかすれ、胸痛など呼吸器に関連する症状がみられるとき。②頭痛、吐き気、手足の麻痺、背部痛、黄疸など肺がんが転移しやすい脳、骨、肝臓などに関連する症状がみられるとき。③集団検診や定期健康診断で撮影した胸部Ⅹ線写真で異常がみられるときなどです。

肺がんは発生部位により見つける方法が異なりますが、肺がんが疑われれば、中心型肺がん、末梢型肺がんの両方を見落とさないように喀痰検査と胸部Ⅹ線/胸部CT検査が併用されます。痰は肺の入り口に近い比較的太い気管支から分泌されるので、そこにがんができれば(中心型肺がん)、痰の中にがん細胞が混じるようになります。これを利用したのが喀痰細胞診で、起床後、うがいをして口の中を洗い、大きく咳をして採った3日分の痰を調べます。胸部CT検査は、体の内部が輪切りにされた状態で画像化されるため、胸部Ⅹ線検査では見つけにくい小さながん(1.5cm以下)や心臓や背骨に隠れているような末梢型肺がんも発見できます。

喀痰細胞診でがん細胞が発見された場合や胸部CT画像で肺がんが強く疑われた場合には気管支鏡検査や透視下またはCTガイド下生検、エコーガイド下生検などにより、がんが疑われる場所から組織や細胞を採取し、顕微鏡で観察して診断を確定します。

肺がんの病気(ステージ)について

病期(ステージ)は、がんの進行の程度を示す言葉で、肺がんでは、がんの大きさ、広がり、リンパ節や他の臓器への転移の有無によって決められます。肺がんの治療方針は、組織型と病気でほぼ決まるため、病期の決定は重要です。

がんの病期(ステージ)は、がんができた場所やがんの大きさ、広がり、がん細胞や組織の性質、リンパ節や他の臓器への転移など、病気の経過に強い影響を及ぼす客観的な指標を組み合わせて決められます。肺がんの病期は、国際対がん連合(UIⅭⅭ)により決められているTNⅯ分類を用いて決定されます。「UIⅭⅭ TNⅯ分類改訂第7版」以降、TNⅯ分類による肺がんの病期分類は、従来からの非小細胞肺がんだけではなく、これまでは限局型と進展型に病期分類されていた小細胞肺がんにも適用されることになりました。

肺がんでは、組織型にかかわらず、①最初に発生した肺がんがどの程度おおきくなり、どこまで広がっているかを見るT因子(原発腫瘍primary Tumorの状況)②リンパ節への転移とその広がりを見るN因子(所属リンパ節regional lymph Nodesの状況)③リンパ節以外のほかの臓器への転移とその広がりを見るⅯ因子(遠隔転移distant Ⅿetastasisの状況)の3つの因子を組み合わせて、病期を0期、1A期、1B期、ⅡA期、ⅡB期、ⅢA期、ⅢB期、Ⅳ期の8つに分類します。(高橋)