痛みとうまく付き合うテクニック(第11回)

痛みとうまく付き合うテクニック(第11回)

 痛みを感じにくくする抑制系の薬ですが、その多くが抗うつ薬の範疇に入るものです。痛みを感じにくくする下行性疼痛抑制系にとても作用しやすく、慢性痛の患者さんによく使われるのです。

 実際、うつ病に作用するよりはるかに低用量の抗うつ薬で、痛みを減らせるというデータもあります。最近は薬についてインターネットで簡単に調べられるので、抗うつ薬をもらった患者さんが、それを調べて「自分はうつ病じゃないのに、うつ病の薬を出された」「先生は、痛いのは気のせいだと思っているようだ」などと考え、飲まない人もいらっしゃるようですが、そんなことは全くありません。そのことを理解して、抗うつ薬を出されても安心して服用しましょう。

 もう一つ、頭の方で痛みを感じにくくするする薬には、抗けいれん薬があります。ひとことで言えばてんかんの薬です。そう聞くと不安に思う方がいるかもしれませんが、これにも理由があります。

 痛みが長く続くと、頭の中の痛みを感知する部分が過敏になり、いわば脳がスパークしたような状態になってしまいます。そこで、頭のその部分を穏やかにして、痛みに過敏になりすぎないようにするのが抗けいれん薬です。ただし、この薬は中枢神経に働くので、眠気やふらつき、めまいといった副作用に注意しなければなりません。

 患者さんはよく「早く痛みを取りたいので、効く薬をどんどん使ってほしい」というのですが、たくさん飲めばいいというわけではありません。よく効く薬は両刃の剣ですから、患者さんの様子をよく確かめながら、少しずつ使うことが大切なのです。(高橋)