痛みとうまく付き合うテクニック(第5回)

痛みとうまく付き合うテクニック(第5回)

「侵害受容性疼痛」の場合、神経系の先端部分にある受容器の近くで炎症が起こり、そこが熱を持ったり腫れたりすると、それが伝わっていく。つまり神経系は壊れていない痛みです。

 一方、帯状疱疹や坐骨神経痛など、途中のさまざまな神経さまざまな理由で傷つき、壊れて痛みが出るという場合を「神経障害性疼痛」といいます。

 さらに、そのどちらにも当てはまらず、どこも悪くないのに、頭で痛いと感じる場合があります。このような場合を「心因性疼痛」あるいは「非器質的疼痛」と呼んでいます。

 侵害受容性疼痛の場合、神経は壊れていないので、どこかで痛いという情報が入ると、それが神経の経路に沿って頭へ上がっていきます。これはごく普通の痛みであり、通常はその原因さえなくなれば痛みもなくなります。

 例えば、ぶつけたとか、転んだとか、若い時はそういった痛みが多く、患部に湿布を貼ったり、消炎鎮痛剤などを飲んだりすれば、たいていは治ってしまいます。ところが、なかなか治らない慢性痛の中でも「難治性疼痛」と呼ばれる痛みは、多くの場合、神経障害性疼痛と心因性疼痛が原因で、これは簡単には治りません。特に神経にダメージがある神経障害性疼痛が入っくると、神経それ自体がなかなか治りにくいことに加えて、体に「増幅型の回路」というメカニズムがあることが問題となります。この存在によって、痛みが長く続くとそれだけでその痛みをより強く感じてしまい、いっそう治りにくくなると言われています。

 よく「あの人は痛がりだから」といった形で扱われることの多かった心因性疼痛も、最近は、単に「心に因る」だけではないことがわかってきました。長く痛みが続くことにより、脳の機能異常が起こるのではないかと言われています。(高橋)