痛みとうまく付き合うテクニック(第2回)

痛みとうまく付き合うテクニック(第2回)

痛みで受診している人は僅かです。痛みはその様相によって、急性期と慢性期の2つに分けられます。急性期というのは持続時間が短い痛みで、逆に長期にわたって継続する痛みが慢性期です。慢性期の定義は、治療に要すると期待された時間の枠組みを超えて持続する痛み、あるいは進行性の非癌性疾患に関する痛みというもので、3ヶ月以上も痛みが続く場合は慢性痛ということになります。

では、慢性痛を患う人は、日本にどれくらいいるのでしょうか。問診形式で調べたインターネットのデータによると、痛みがありますか?という設問に、はいと答えた人は全体の14%になります。その中で、より強い痛みがある重度の人はどれくらいかを割り出すと、およそ220万人になります。一般成人の約2割に相当する人が強い痛みを有しているわけです。

高齢化社会の急速な進展により、今や4人に1人が65歳以上ということですから、実際にはもっと多くなっていると思います。これらの痛みを感じている人たちは、どのように対処しているのでしょうか?

データを見ると、痛みの治療で受診している人は全体の79%で、受診した人でも、途中で通院をやめてしまった人が44.5%おり、現在通院中の34.5%を上回っています。多くの患者さんが、痛みを感じながらも通院していないのです。「病院に行っても、そんなに痛みは変わらないだろう」「どうせ痛みは取れない」と思っているようです。

それでは、受診している数少ない患者さんはどこに通っているのでしょうか。手や足腰の痛みではほとんどが整形外科、次が一般内科です。ペインクリニックに来る人は少数派(0.8%)です。このように、痛みで受診する人はそもそも少なく、しかも、その人たちは、受診中の科にあまり満足していません。受診する、しないにかかわらず、まだまだ大勢の人が痛みに悩んでいるのです。(高橋)