医科歯科連携・医療安全講習会に行きました(第2回)

医科歯科連携・医療安全講習会に行きました(第2回)

前回はHIVウィルス感染についてでしたが、続いてB型肝炎ウィルス(HBV)についての説明がありました。

B型肝炎ウィルス患者は全世界で推定4億人のキャリアが存在しているとのことでした。そのうち、アジア・アフリカに多く、日本には130~150万人のキャリアがいて、死亡者は1年に120~200万人との事。

ウィルス自体には細胞障害性はないので、感染肝細胞の破壊は宿主の免疫反応によります。そして、肝細胞癌の原因となります。病期進行に伴い、肝発癌率は上昇して、肝硬変になると年5~8%の発癌率になります。HⅭⅭ発症例の約半数は肝硬変を合併します。肝炎沈静化例や繊維化非進展例からの発症もあります。

HBVのセロコンバージョンについての説明がありました。感染後HBs抗原がたかくなります。HBs抗原はHBVの外殻を構成する蛋白質の1つで、HBV感染の有無を判定する際に調べられます。HBe抗原はHBVが増殖する際に過剰に作られる蛋白質で、肝臓でHBVが活発に増殖している状態で、感染力が強いことを示します。感染後20年近くなるとHBe抗原の値が下がり、代わってHBe抗体が増加します。HBVの感染を防御する働きはなく、ウィルス量と増殖が落ち着いている状態で、感染力が弱いことを示します。感染後30年以上になるとHBS抗体がふえます。過去に感染したウィルスが排除されている場合や、HBワクチンを接種すると陽性になります。HBVの感染を防御する働きがあり、HBVに対する免疫ができていることを示します。HBc抗体にはIgⅯとIgGがあり、IgⅯはHBV感染初期に現れ、数か月後には消えます。比較的最近、HBVに感染したことを示し、急性肝炎の診断に使用されます。IgGはIgⅯ-HBc抗体に少し遅れて現れ、ほぼ生涯にわたって血中に存在します。過去にHBVに感染したことを示します。(高橋)