痛みとうまく付き合うテクニックです第8回)

痛みとうまく付き合うテクニックです第8回)

これとは別に社会的悪循環による痛みもあります。例えば、病院で多くの科をたらい回しにされ、それでも診断がつかず、次の病院へということを繰り返すうちに、患者さんの経済的負担も重くなっていきます。さらに、治療がうまくいかず、なかなか社会復帰できないと、気分も落ち込んでしまう。そのために痛みが強まり、薬の量も増えてしまうといった悪循環、つまり社会的悪循環に陥ってしまうのです。

多面的診断とオーダーメイド治療

病院に来られる慢性痛の患者さんは、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛の3つが合わさった状態になっている方がほとんどです。

しかも、この3つの痛みの割合は人によって違います。最近、この3つの痛みは、同じ患者さんでも時によってその割合が変化することが分かってきました。最初は消炎鎮痛剤が効く侵害受容性疼痛が主体だったのに、痛みが長く続くうちにさまざまな増幅因子が働き、しかも神経のダメージが強まって神経障害性疼痛が拡大、最後には精神侵害性疼痛が拡大、最後には精神的にうつうつとして心因性疼痛が強まってくるというように、人や状況によって、痛みの構成や内容が刻々と変わっていきます。(高橋)