「専門医に学ぶ乳がんの正しい知識」というがん検診講演会に行きました(第8回)

「専門医に学ぶ乳がんの正しい知識」というがん検診講演会に行きました(第8回)

乳癌の治療薬は抗がん剤、内分泌療法薬、分子標的薬があります。内分泌療法薬はエストロゲンレセプター/プロゲステロンレセプター陽性乳癌に抗Her2療法薬はHer2陽性乳癌に使います。分子標的薬には抗Her2薬、抗血管新生薬、mTOR阻害薬があります。

抗がん剤はがん細胞の増殖を抑える力を指標に開発されました。増殖している正常細胞も障害します。乳癌は比較的よく効く癌腫です。脱毛、悪心、心不全、神経障害などの副作用を伴うものが多く、静脈注射と経口があります。他剤と併用して使うものと単剤で使うものがあります。

内分泌療法は兵糧攻めと言われ、抗がん剤よりもゆっくり効いてくるが、長く効く傾向があります。閉経状況で使い分けが必要なものがあります。副作用として、のぼせ、タモキシフェンでは子宮体がん・血栓症、アロマターゼ阻害剤では骨塩量低下・関節痛など。注射薬では硬結。閉経前は治療薬としてⅬHRHアゴニストは注射薬のみで、アロマターゼ阻害剤は内服薬のみで閉経後のみです。両方ともエストロゲンを低下します。抗エストロゲン剤は内服薬は閉経前後どちらも使用できます。注射薬は閉経後のみでエストロゲンレセプターを阻害します。黄体ホルモン製剤もあるが作用機序は不明です。

Her2は細胞の膜を貫く形で細胞の表面に顔を出しています。同じような形をした3種類の仲間がいます。(EGFR、HER1、HER3、HER4)4つを合わせてHERフアミリーといいます。2つがくっついて機能します。抗Her2療法は手術前後で使えるのは̚カドサイラ以外は他の薬と併用します。抗体薬の副作用として、インフュージョン反応、心不全などがあります。低分子薬の副作用として、口内炎、下痢、心不全、不整脈、爪の変化、肝機能障害などがあります。

乳癌のサブタイプと薬物療法について。サブタイプでルミナルAは内分泌療法薬+-抗がん剤。ルミナルB(Her2-)は抗がん剤+内分泌療法薬。ルミナルB(Her2+)は抗がん剤+抗Her2薬+内分泌療法。Her2+は抗がん剤+抗Her2薬。トリピルネガティブは抗がん剤。乳癌のサブタイプの頻度は全乳癌中ホルモン感受性(ER陽性またはPgR陽性)は70%。HER2陽性15%。トリプルネガティブ15%。

手術可能乳癌に対する初期治療はスケジュールに沿って計画的に実施します。診察後、手術可能乳癌は手術と術後補助療法±願射。手術可能乳癌と局所進行乳癌は術前療法後手術と術後補助療法±願射でフォローアップします。(高橋)