早期発見、早期治療とは、放っておけば、進行して命を奪うような病気を、根治可能な早期の段階で見つけて、治療で根治させることです。
乳がんの検診は二つの検診があります。対策型検診と任意型検診です。対策型検診は集団全体の死亡率減少を目的とします。公共的な予防対策として行われます。有効性が確立したがん検診を選択します。利益は不利益を上回ることが基本条件です。
マンモグラフィー(ⅯⅯG)は検診では1方向のみのことが多いです。精査では2方向が基本です。立体的に評価して位置を知りたい、スポット撮影、拡大撮影など追加できます。ⅯⅯG診断の特徴は、①過去の画像を参照しながら、比較読影できる②1枚で乳腺の広い範囲が記録できる。③非触知癌、特に石灰化を所見とする非接触癌の検出に優れている④圧迫を加えるので痛いことがある④乳腺組織の多い乳房では、高濃度の乳腺組織が腫瘤陰影をマスクしてしまう⑤若い年代では、乳癌発見率が低下する⑥マンモグラフィーでは撮影しにくい部位がある。
超音波検査(US)は①マンモグラフィーの欠点である疼痛や被爆がない②比較的、乳腺の多い乳房でも、腫瘤性病変の検出に優れる③リアルタイムで描出できる④石灰化の描出能が低い⑤一度に観察可能な範囲が狭い⑥記録性や客観性に欠ける乳腺にはしこりのように見える所がたくさんあり、実施者は探触子を動かしながら立体的に評価して、数枚の断面図のみが記録されます。
日本の対策型乳がん検診は、40歳以上、2年ごとのマンモグラフィー±視触診となっています。しかし、検診受診率が低いです。乳がんの10年生存率を病気別にみると、0期で94,72%、1期で89,1%、Ⅱ期で78,4%,Ⅲ期では52,04~58,74%で、Ⅳ期では25,49%です。
乳がん検診の現状は、検診を受診した221万人のデータ;乳がんの発見率は0,25%=400人に1人が乳癌。要精検率は5,6%。要精検率になった人の中での乳がん発見率は4,5%=22人に1人が乳癌。問題点としては、要精検となった人の18%が精検を受けていないことで、1000人くらいの乳がんが含まれていると推測されます。
乳がん登録のデータ。乳がんの約半数は自分で発見して、検診は約3割で、検診受診者の約20%が自覚症状があり、自覚症状のないほうが小さい段階で発見されます。1985年にマンモグラフィー検診が開始されました。
潜伏癌とは、生前に癌と診断されず、死後部検によって初めてその存在が確認される癌で、女性では甲状腺癌、男性では前立腺がんが多いとのことです。乳がんでは解剖例の5%~15%検診対象年齢では10%~40%で非浸潤癌が多いようです。(高橋)