「専門医に学ぶ乳がんの正しい知識」講習会に行きました(第3回)

「専門医に学ぶ乳がんの正しい知識」講習会に行きました(第3回)

原発と転移との違いについて、例として肺に見つかったがんとした、原発性肺がんは肺の細胞からできたがんで肺がんの治療をします。転移性肺がんは元のがんに対する治療をします。元々は別の所にできたがんで肺に飛んできたがんだからです。

乳がんは何歳に多いのか、増えているのか、減っているのか。乳がんは30歳代から増加して、40歳代後半から50歳代前半がピークです。乳がん患者数、死亡数は増えています。特に40歳以上の増加が目立ちます。女性は生涯のうち、2人に1人ががんに罹り、6人に1人ががんにより死亡し、11人に1人が乳がんに罹り、70人に1人が乳がんにより死亡します。

乳がんは生活環境の変化の影響を受けます。肉類の摂取量の増加、脂肪の摂取量の増加、女性の初婚年齢の高年齢化、50歳代の肥満指数の増加、出生率の低下など、女性ホルモン(エストロゲン)に関連する因子が原因です。乳がんのリスクファクター(危険因子)とは病気を引き起こす、あるいは病気に付加的に働く因子で、病気になりやすい要因ですが、リスクが高い人は病気になりやすくリスクが低い人は病気になりにくいかといえば、そうではありません。乳がんのリスクファクターとしては、乳がんの家族歴・既往歴、放射線被爆、生活環境・嗜好品(欧米や都市での生活・飲酒・喫煙など)身体的特徴(高身長・閉経後の肥満)エストロゲン環境(初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、授乳歴がない、初産年齢が遅い、ホルモン補充療法)

乳がんの症状は全身症状はなく、食欲不振もなく、やせる事もありません。乳房、腋下の局所症状のみです。しこり、硬結、痛み、違和感、乳頭分泌、乳頭のびらん、乳房変形、腋下リンパ節触知などです。

よくある質問で、栄養関連因子と乳がんの関係としては、増加させる可能性があるものは総脂肪(閉経後の乳がん)で、証拠不十分なものは穀物及び穀物製品、食物繊維、イモ類、野菜類、果物類、豆類、鶏肉類、大豆・及び大豆製品、肉類、魚類、卵類、牛乳と乳製品、コレステロール、ショ糖その他の砂糖、コーヒー、お茶、炭水化物、蛋白質、ビタミンA、B6、B12、C、D、E、カルシウム、カロテノイド、イソフラボン、などです。

日常生活の中でのがんのリスク軽減法。喫煙:たばこは吸わない。他人のたばこの煙を避ける。飲酒:飲むなら、節度ある飲酒をする。食事:食事はバランスよくとる。身体活動:日常生活を活動的に過ごす。体形:成人期での体重を適正な範囲に維持する。(太り過ぎない、やせ過ぎない)乳がんでは、特に閉経後。感染;肝炎ウイルス感染の有無を知り、感染している場合はその治療の措置をとる。

遺伝性乳がんとは、乳がん全体の5~10%が遺伝に伴って発症します。その多くが、BRⅭA1/2の変異によります。BRⅭA1/2の変異が要因となって発症する一連のがんを遺伝性乳がん卵巣がん症候群を呼びます。乳がん、卵巣がんの発症リスクが高くなります。遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(BRⅭA1/2遺伝子変異)の対策としては、遺伝カウンセリング、遺伝子検査、化学予防(タモキシフェンなどのホルモン療法)外科的予防(乳房切除術+同時再建、卵巣・卵管切除術)日本人のリスク評価法と予防法の検討が必要です。(高橋)