痛みとうまく付き合うテクニック(第13回)

痛みとうまく付き合うテクニック(第13回)

 また、神経ブロックは薬を減らす作用があります。したがって、薬を減らしたところで患者さんに実際に動いてもらうことが可能で、悪い循環から良い循環に変えていくための有効な手段として使えます。

 例えば、腰が痛いという方は多いのですが、腰痛の主原因を見つけることはなかなか大変です。椎間関節が原因か、それとも椎間板なのか、あるいは神経根の周囲が痛いのか、周りの筋肉や筋膜が痛いという場合もあります。一口に腰痛といっても、さまざまな体組織が関係しているため、その主原因がどこなのか、容易に見極められません。

 しかし、神経ブロックをうまく使えば、痛いところと痛くないところを切り分けていくことで痛みの主原因を調べ、同時に少量の薬を患部にダイレクトに届けて、有効に効くようにできるのです。

 飲み薬の場合は、逆に成分が全身に回り、その一部が頭の方に作用して痛みを減らすわけです。消炎鎮痛剤も患部に効き目が到達しますが、同時にそれ以外の全身にも成分が回ります。このため、患者さんによっては胃が荒れたり、腎機能が悪くなったりします。

 もちろん神経ブロックの場合も、最終的には薬の成分が血液に入って全身に回りますが、その影響は微々たるもので、薬を飲むよりもはるかに有効かつ安心なのです。(高橋)