痛みとうまく付き合うテクニック(第12回)

痛みとうまく付き合うテクニック(第12回)

 神経ブロックの優れた作用

 薬以外で、痛みに対する効果的な治療法にしては、神経ブロック療法です。痛みの診断にも使えますし、有効だが副作用のある薬の服用量を減らすこともできます。つまり、薬だけで痛みを抑えるためにたくさんの量が必要な場合も、神経ブロックで痛みそのもののペースを下げることで、薬の使用量を減らせるのです。この方法をうまく使えば、ふらつきやめまいといった副作用も抑えられることが分かってきました。

 実際、当初は「痛みを取っているだけでは?」とか「一時的に取るだけだろう」と思われていましたが、今や侵害受容性、神経障害性、心因性の3つの慢性痛の悪循環を抑え、他の薬の使用量も減らせるということで、積極的に使われるようになりました。しかも、ブロックの種類にもよりますが、医療費も比較的安く抑えられるのです。

 ここで、神経ブロックの作用についてまとめてみましょう。1回でよく痛みが取れるのが、神経ブロックの一番の特長です。局所麻酔薬は本来、数時間しか効きませんが、神経ブロックの場合は一度でよく痛みが取れ、時には長時間にわたって緩和されます。

 しかも、神経ブロックは痛みの神経である知覚神経だけでなく、緊張をつかさどる自律神経などもブロックし、血流を改善したり、免疫力を向上させたりする作用まであります。よく笑うことで免疫力を向上させるという健康法がありますが、神経ブロック療法も同様の効果があります。緊張をつかさどる神経をブロックすることで、自然に体をリラックス状態へ導くため、免疫賦活作用があるのではないかと言われています。(高橋)