東京医科歯科大学病院の公開講座に行きました(第3回)

東京医科歯科大学病院の公開講座に行きました(第3回)

大腸がんでは、病期(ステージ)に応じた標準的な治療方針があります。大腸がんは、がんを完全に切除できれば完治する可能性が高いため、ほかの臓器に転移がある場合でも積極的に手術を行います。

大腸がんの治療法には、内視鏡治療、手術、化学療法、放射線療法などがありますが、病期(ステージ)に応じて標準的な治療方針が設定されています。

ステージ0の大腸がんでは、がんは粘膜の中にとどまっているので、内視鏡によってがんを切り取る治療をします。取り残しがなければ、ステージ0の大腸がんは内視鏡のみで完治します。

ステージⅠの大腸がんの中で、大腸の壁への浸潤が浅い物に対しては、ステージ0と同様に内視鏡治療をします。浸潤が深いものでは、内視鏡治療ではがんを取り残してしまう可能性やリンパ節転移を起こしている可能性があるため、手術によってがんの部分を含む腸管と、転移の可能性のある範囲のリンパ節を切除します。

ステージⅡ、Ⅲの大腸がんでは、手術によって、がんの部分を含む腸管と転移の可能性のある範囲のリンパ節を切除します。切除したリンパ節にがんの転移があって場合には、再発予防のための抗がん剤治療(術後補助化学療法)がすすめられています。

ステージⅣの大腸がんの場合は、がんの部分を取り除くだけでは、他の臓器に転移したがんがまだ残っている状態なので、すべてのがんが取り切れたことにはなりません。一般に大腸がんでは、肝臓や肺に転移したがんも、それらが手術で切除することが可能であれば、積極的に手術をします。何回かに分けて手術を行う事もしばしばあります。がんを手術ですべて取り切ることができれば、約40%の人では完治が期待できます。ただし、転移のある場所・数や、その時点での身体の症状などに応じて、手術以外の治療法(化学療法や放射線療法など)がすすめられる場合もあります。

日本の手術は優れています。腹腔鏡手術は増加していて、東京医科歯科大学病院では72%くらいです。傷が小さく、社会復帰が早いですが、短所は手術が難しいので熟練したテクニックが必要で、習熟に年月が必要で、どこの病院でもできる手術ではありません。直腸がんの手術が難しいのは、骨盤内に位置しているため、神経に囲まれているからです。