帝京大学の公開講座に行きました(第7回)

帝京大学の公開講座に行きました(第7回)

関節リュウマチが進むとどうなるか?免疫が暴走して関節リュウマチが悪化すると、もともと正常な関節があったところでも、関節の中に滑膜というものが増えて骨を食べていきます。外敵をやっつけるつもりの免疫が、間違って自分を叩くようになってしまう感じです。

それがどんどん進むとどうなるかというと、最初は腫れ、それから骨が削れて、最後には骨がくっつくということになります。昔は指が曲がったままくっついてしまうようなことも起こりました。10年前からリュウマチの治療が変わりましたがその前にリュウマチを発症した方はその恩恵をなかなか受けられなかった部分もあり、中にはかなり曲がってしまった方もいます。しかし、最近は早期に診断・治療することができればよくなることが分かっています。

リュウマチは、昔はだんだん進行してから、あとで悪くなるのではないか、機能がだんだん落ちてくるのではないかと思われていました。しかし、細かくレントゲンを摂って調べてみると、実はリュウマチを発症してから最初の2年が勝負だということがわかってきました。進まない人はあまり進まないのですが、最初の2年間で関節の破壊が進む人は一気に進んでしまうリュウマチの方がいらっしゃいます。

そのため、見つけたらすぐに、なるべくしっかりと治療することが重要です。いわゆる「治療の窓(Window of opportunity)」と呼ばれる期間であれば、しっかり治療すれば効果があると言われています。せっかくいい治療があるのだからなるべく早く治療しましょうという時代になっています。

リュウマチは、関節以外にもいろいろな症状がでます。目、口、心臓、リンパ節、肺、腎臓、皮膚、神経、血液と体中どこでも病気が起こり得るのですが、目や口が渇くといった合併症が多いです。

ずっと放っておくと、手足が痛み、車椅子生活になって入院して、寿命も縮まってしまうというのが以前のリュウマチでした。1973年の論文では、適切な治療をしないと。長期経過は全般に不良で、50%は寝たきりとあります。実際、20年程前、ある国立病院におけるリュウマチ患者の平均寿命は普通の方に比べて20年も短かったのです。しかし、最近の発表ではたった2年の違いで、ほぼ変わらないというところまで来ています。それぐらい治療が追いついたということです。

では、患者さんが実際につらいことは何でしょうか?一番は痛みがあって治らないという事、何かにつけて人手が要るという事なのです。関節リュウマチといっても皆さん同じではなく、急に悪くなる方が1~2割、良くなったり悪くなったりを繰り返す方が大多数で6~7割です。残りの方はいったん悪くなったけども治療をしなくても良くなってしまうので、これは本当にリュウマチだったのかどうか分からないということになります。

どのような人がリュウマチになるかというと、リュウマチと診断される年齢は40代が一番多く、60代以上でリュウマチと診断される方はかなり少ないので、60歳以上の方が「関節が痛い」とおっしゃると、すぐに「変形性関節症」ということになり、「お年」のほうになるわけです。また、関節リュウマチは中高年の女性に多く、女性に比べて男性は三分の1~四分の1しかなりません。

自分の免疫が暴走してしまい、関節症状だけでなく関節の外や臓器の障害も伴います。骨が削れたり、軟骨がなくなったりして関節が壊れていくのが特徴です。(高橋)