「専門医に学ぶ乳がんの正しい知識」というがん検診講演会に行きました(第7回)

「専門医に学ぶ乳がんの正しい知識」というがん検診講演会に行きました(第7回)

乳癌の治療が必要になった場合、がん治療の3本柱は手術、放射線、薬物療法です。

治療方針としては、手術可能乳癌はステージ0,1,2で治癒します。局所進行乳癌はステージ3でやはり治癒(治す)方向です。転移性乳癌はステージ4で緩和、QOⅬ向上、延命治療です。再発の場合も緩和、QOⅬ向上、延命治療です。必ずしもすべての治療法を組み合わせるわけではないが、多くの場合、集合的治療をします。複数の治療法を組み合わせます。手術可能乳癌では手術±照射±薬物療法で、局所進行乳癌では手術±照射±薬物療法で、転移性乳癌と再発乳癌では薬物療法±照射±手術です。同時に行うものと適時行うものがあります。

治療法をどのように決めるか?1、乳癌の病状(ステージ)2、治療の必要性(目的)3、治療の有効性(効果、副作用、合併性、費用)4、全身状態(副作用・合併性に耐えられるか)年齢、心機能、合併性の有無・状態など5、患者さんの嗜好、仕事、家庭などの生活環境。

手術の出番。主に、手術可能乳癌・局所進行乳癌に対して行われます。局所再発の場合は、部分切除後の温存乳房内再発か乳房切除後の局所領域再発です。転移性乳癌の場合は、潰瘍による出血、感染を改善します。

手術には、乳房切除術/皮下乳腺切除±再建術(再建法:同時再建vs二期再建。組織拡張期、インプラント、自家組織)乳房部分切除術(温存術)で、温存が不向きな場合は腫瘍が大きく変形が強い場合、広がりがある為取り残す可能性がある場合、多発病変があり部分切除でできない場合、術後に放射線がかけれない場合(乳房への照射の既往、膠原病、体位が取れない、妊娠中など。

腋下リンパ節(乳腺に最も近いリンパ節)はセンチネンタルリンパ節といい、最初にがんが転移するリンパ節で、アイソトープ、色素で検出されます。リンパ節は、免疫機関の一つで、リンパ管を介してつながります。最終的に血管とつながります。異物処置とがんの転移部位となります。センチネンタルリンパ節生検は、センチネンタルリンパ節のみを切除します。臨床的に転移がないと考えている場合に適応します。問題点は上腕浮腫、漿液腫が少ない偽陰性です。腋下リンパ節郭清はリンパ節を脂肪、リンパ管とともに切除します。リンパ節転移がある場合に適応します。局所制御と転移状況の正確な把握ができます。

放射線療法の出番は手術可能乳癌と局所進行乳癌では乳房部分切除後の温存乳房か乳房切除後で局所再発リスクが高い場合の胸壁・所属リンパ節です。転移・再発乳癌は骨転移(痛みやがんによる脊髄障害に対して)脳転移(全脳照射、ガンマナイフなどの定位照射)局所再発(痛みや出血がある場合や局所制御を目的)

ここまでのまとめ:①乳癌の診断は、問診、視触診と画像診断に始まる。②病理診断で診断を確定する。③局所療法として手術・放射線がある。④手術可能乳癌では手術は不可避。⑤乳房切除の時は再建を考慮、温存術は照射。⑥センチネンタルリンパ節生検で腋か温存も可能になっている。(高橋)