痛みとうまく付き合うテクニック(第14回)

痛みとうまく付き合うテクニック(第14回)

 神経ブロック自体も、大きく進化しました。かつては局所麻酔薬を使い、場合によっては100%近い無水アルコールやフェノールなどを用いて「脱髄」、すなわち神経を破壊することで、長く効く神経ブロックを行っていました。

しかし、それでは神経にダメージを与える懸念があるというので、やがて「高周波熱凝固法」が生まれました。これは熱した針の先端で神経を焼く「焼灼」で神経の連絡路を断つ方法ですが、これも最近は「パルス高周波法」に変わってきました。

このように、薬剤から、熱による変性、そして電気による神経刺激という形で、できるだけ神経にダメージを与えない方向に進化したわけです。もちろん現在も、より安全な神経ブロックが行えるように改善が続いています。

では、最近の主流「パルス高周波法」とはどのようなものでしょうか。これは神経にパルス状に高周波をかける方法で、高電圧をかけた針の温度を42度以下に保つことがポイントです。この程度の熱ならば、神経は変性せず、損傷しません。この針に間欠的に電流を通すことで神経ブロックを行い、神経変性を起こさずに痛みを減らせるわけです。

もちろん、これも完全に痛みが消えてなくなるわけではありませんか、他の方法に比べて知覚低下や筋力低下を起こしにくく、疼痛改善効果も優れています。(高橋)