全米の高齢の女性を対象としたもので、1週間ほど加速度計(体がどのくらい動いているかを客観的に測れる小型の測定機器)を付けてもらって、そのあとずっと様々な病気を発症されたかどうか、あるいは亡くなられた死亡原因は何かといったことも追跡していった研究では、1日1万歩以上の方と7500歩くらいの方は、長生きと言う観点では効果が変わらないことが分かってきています。
これは他のさまざまな研究を見てもだいたいこういうカーブをしているのは変わりません。昔はよく最後に上がっていくようなカーブが見られました。これはどういうことかというと、ほどほどがちょうどよく、ものすごくたくさん運動されている方は死亡リスクが少しだけ高めになるかもしれないということです。
ただ、大事な観点は、例えばマラソンが大好きな方はマラソン中に急性心筋梗塞などの急性のリスクがどうしても上がってしまいますが、それでも長期的に見ると、全く動かないよりは心臓病などいろいろな病気を予防する効果の、ほうが大きいということです。マラソン大好き、ウオーキング大好きで1日に何万歩も歩いている方でも、全く動かない方と比べると長生きと言う事は分かっています。運動とても大好き、歩くのも大好き、スポーツも大好きと言う方に、やめましょうと言うことをお伝えするのは良くありません。
1万歩はハードルが高いかもしれませんが、1日4000歩も歩いていないと言う方はもう少し活動的になるようなポイントを見つけましょう。例えば、ちょっと最近運動不足だなと言う方はプラス5分、あるいは5分でなくても少しでもいいのでまずは体を動かすことを取り入れるようにしましょう。
厚生労働省、アメリカ政府、世界保健機関では目安として推奨量を一応出しています。まず厚生労働省、日本では「プラステン」といって、今よりできれば10分くらい体を動かすことを取り入れてみませんかということをメッセージとして発信しています。これはとにかくちょっとでもいいから体を動かすことがいろいろな面で効果があると分かっているからです。(高橋)