がん治療を支える歯科口腔管理の講習会(3回目)

がん治療を支える歯科口腔管理の講習会(3回目)

最後に緩和ケアと歯科治療のお話しでした。

抗がん剤により、顎骨壊死をおこし、骨は感染していても義歯をのせてあけるそうです。やはり、見た目だけでも歯がはいると患者さんはうれしいらしいです。

がん病棟では毎月イベントをするようです。1月おせち、2月豆まき、3月甘酒、など。少しでもつらい治療を忘れられるように。

終末期のがん患者さんの口腔トラブルの発症頻度としては、乾燥が一番多く,約70%~80%くらい。あとは不快感、味覚異常、咀嚼困難、嚥下困難、会話困難などは個人差があるそうです。

急性骨髄性白血病の姑息的化学療法では口腔内の出血が止まらなくなるそうです。全身状態の応じて無理のない範囲で口腔ケア介入すると、介入により歯肉の発赤・腫脹・出血は徐々に改善され、2週間くらいで口腔内の出血がなくなり、ゼリーを味わうことができたそうです。がん患者さんのQОⅬの向上に努めることは延命につながる可能性があるそうです。

日本のがん対策全体目標①がんによって亡くなる方を減らそう②病気だけでなく、その人の生活全体を支援しよう。また患者さんだけでなく、その家族も支援しよう。チームアプローチ・・・がん治療における最善の支持療法の実現にはすべての医療職がチームとなって対応していく必要があります。

がん治療を支える歯科口腔管理の目的⑴がん治療の継続、完遂を支援する⑵がん患者さんのQОⅬを維持する。具体的には、疼痛緩和・患者さんやその家族の教育、安心の提供・二次感染の制御・経口摂取や構音、会話の支援で、現行のがん治療をこれからも安心して継続できるようにする。痛みが強くなったり、食事ができなくなったりしないようにする。

がん患者さんの「力」になるものⅰ不安やつらさに気づいてもらえる(闘病の様々な不安・悲嘆に向き合って、「副作用ですから」で終わらせず、ともに考える)ⅱがんばりをわかってもらえる(つらい治療や検査を1つ1つ乗り越えているので「歯ブラシ頑張ってますね!」もうれしい一言)ⅲ「自分にできる何か」の情報(患者さんは何かプラスになることをさがしているのでブラッシングを教える)

がん治療を支える歯科口腔管理のまとめ⓵がん患者さんの口腔の健康状態は、口腔合併症の発生率・重症度に関連する⓶早期から口腔を通じてがん患者さんのQОⅬ向上に努めることは、治療予後の向上や延命にも貢献できる可能性がある。

以上、「がん治療をささえる歯科口腔管理」(国立がんセンター上野尚雄先生の講習会)を3回に分けて書きました。(高橋)