♦増える高齢者肺炎
肺炎はがん、心疾患についで、日本人の死因の第3位となっています。肺炎は原因によっていくつかの種類に分かれますが、特に高齢者が注意したいのが「誤嚥性肺炎」です。
私達が食事をするとき、口から入った飲食物や唾液はのどから食道へと送られます。この一連の流れを「嚥下」といい、食道の隣にある気管に飲食物や唾液が流れ込まないよう、気管の入り口にある喉頭蓋というふたが反射的に閉じるようになっています。
しかし、このふたがうまく閉まらずに、飲食物や唾液が誤って気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥」といいます。
そして、飲食物や唾液に含まれる細菌が肺に達して炎症を起こしたものを誤嚥性肺炎といいます。一般的に肺炎が起こると咳やたん、発熱、倦怠感、呼吸困難などの症状が現れますが、高齢者ではこのような症状が現れないことがあり、気がついたときには深刻な状態になっていることもあります。
♦口腔内を清潔に保つ
誤嚥は、食事のときだけでなく、睡眠中に唾液の誤嚥を繰り返している場合があります。入れ歯の洗浄が不十分であったり、虫歯や歯周病があったりすると口の中の細菌が増殖してしまい、誤嚥性肺炎にかかるリスクも高まります。
そのためにも、日頃の口腔ケアで口の中を清潔に保つことが大切です。虫歯の治療はもちろんのこと、正しいブラッシングやデンタルフロス、歯間ブラシで歯垢の除去、また舌ブラシで舌の汚れを取ることも有効です。(高橋)