toria-ji6月28日日曜日講演会に行ってきました。テーマは「知っていますか?「災害時の医療体制~自助・公助・共助が活きる災害時の薬の管理~でした。講演者は高山和郎先生(東京大学附属病院薬剤師・日本ⅮⅯAT隊員)角間英子先生(長野県在宅療養支援認定薬剤師)有輪泉先生(東京都府中市在宅療養支援認定薬剤師)の3先生でした。
まず、有輪先生の講演でした。「お薬手帳」とはなにか?お薬手帳とはあなたに処方されたお薬の内容を記録しておくための手帳です。薬の名前、飲み方(用法)、1日に飲む量(用量)、かかりつけ医の名前、お薬を受け取っている薬局の名前、注意することが記入されています。この手帳があると医師、歯科医師、薬剤師、看護師、衛生士があなたがどのようなお薬をどのくらいの間使っているかが判断できます。他の病院や医院などでお薬をもらう時にも、同じ薬が重なっていないか、不都合な飲み合わせがないか確認できます。お薬手帳は病院や医院、歯科医院、薬局に行くときは毎回忘れずにお持ちください。旅行先や事故、急に具合が悪くなったときなどに医師の判断に役立ちます。
特に災害時、お薬手帳は命のシートベルトです。自分で薬の情報を持ち、服薬を管理できることが大切です。水、食料、薬は最低3日分必要です。災害時・非常時には、お薬手帳の持ち出しをしてください。災害時などは、かかりつけの医療機関で診察していただけないこともあるかもしれません。血圧の薬・糖尿病の薬といってもたくさんの種類があります。お薬手帳があなたの体・病気の状態を伝えるカルテの代わりになります。
次に、角間先生の講演でした。長野県木曽郡内で発生した災害①2014年7月9日南木曽町土石流災害②2014年9月27日木曽御嶽山噴火災害があります。
薬剤師の職能とはなんでしょう。薬剤師は、薬を飲んだ後も責任をもちます。薬剤師は、薬を構造や、薬物動態の側面から見ることができる唯一の医療職です。在宅療養支援薬剤師は居宅療養管理指導をします。沢山の残薬の管理、薬を飲みやすく、飲み忘れ防止対策、副作用把握をします。例えば処方日がいろいろで、4~五科に受診していて、わからなくなっている場合、服用時ごとにまとめてちヤック付きのビニール袋に入れて薬剤師がまとめます。また、嚥下困難で医師から全て粉砕の指示がでても、粉砕すると薬の効果が変わる、薬の量が減ってしまう、粉砕するとむせたりにがくなったりかえって飲みにくくなるかもしれません。小さい錠剤ならばゼリーやとろみ食とともに飲めるかもしれません。医師に提案することもできます。
ところで、皆さまは「お薬の災害対策」していますか?災害時には平時のようにお医者さんに診てもらえません。普段もらっている薬は、3~4日くらいは余裕を持ちましょう。かかりつけの医師に診てもらえるとは限らないので、お薬手帳を非常持ち出しに入れましょう。
最後は高山先生の講演です。
災害医療とは、限られた医療資源で多くの患者を救うことが必要で、急に多くの患者が増えるのが災害です。CSCA-TTTが大切です。Ⅽ:指揮と連携(一番大切です)S:安全確保Ⅽ:情報伝達A:評価TTT:トリアージ、治療、搬送となります。
東京都の医療体制としては、①発災直後~3日程度:緊急医療救護所②緊急医療救護所が落ち着いてから、発災数日経過後:医療救護所(避難所)③重症患者を治療:災害拠点病院④発災1週間以上後に業務を再開出来るようであれば:災害支援病院④福祉避難所(要介護者が対象)⑤妊産婦・乳児救護所の分類になっています。
薬が不足したらどうしましょう。医療救護所へ行きましょう。お薬手帳は災害時にも大切です。緊急時はお薬手帳の内容のみで不足の薬が受け取れます。3日分しかもらえませんので、手持ちの薬は数日分の余裕をもっておきましょう。
東京都では阪神淡路大震災を教訓として、対策を考えているそうですが、まだ完全ではないそうです。
DMATは何をするのでしょうか?DMATは災害時派遣医療チームと言われ、災害急性期に活動できる機動性をもったトレーニングを受けた医療チームです。医師、看護師、薬剤師から構成されています。災害拠点病院はDMATの保有が義務づけられています。EMIS(広域災害救急医療システム)の情報発信も行うことになります。被災地にDMAT が集まります。被災地以外にも待機します。現在入院している患者を離れた病院に搬送して、その代わり被災した重症患者を入院させます。自衛隊も協力します。
トリアージとはどうやるのでしょうか?避難所で実施します。多くの傷病者を治療する順番をきめます。傷病者が病院に殺到したら救える人も救えなくなってしまう可能性もあります。そこで、トリアージが必要になります。一次トリアージは誰でもできます。二次トリアージは医療従事者が行ないます。
日頃からの準備が大切です。自治会を通じて横のつながりを持ちましょう。
以上が講演会の内容です。まず私たちが実施することはお薬手帳を普段いつも持ち歩くようにすることだと思いました。それから、残薬は薬の名前と効能などがわかるように薬の袋に入れて管理(三~四日分)するように心がけようと思いました。(高橋)