東京医科歯科大学病院の公開講座に行きました(第1回)

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心臓病治療の最前線

1、不整脈の最新治療法ーカテーテル心筋焼灼術

まず、自分の脈を取ってみてください。椅子にじっと座っている状況では、脈拍はトン、トン、トンと同じ間隔で1分間に60回から100回打ちます。この回数を脈拍数といい、通常は15秒間にいくつ脈拍があるか数えてそれを4倍して計算します。もし、この脈拍数が100/分以上であれば頻脈といい、60/分未満であれば徐脈といい不整脈の可能性があります。脈拍数が60~100回の間であったら、次に間隔が早くなったり、遅くなったり、脈が抜けるようになったりすることがあれば、それは不整脈の可能性があります。

このように脈拍数が少なすぎる、多すぎる、間隔が乱れる、脈が抜けるのは異常です。「不整脈は異常ですが、不整脈イコール治療が必要」ではなく治療が必要な不整脈もある一方、放置すると命に関わるものもあります。放置していいかどうか、治療をしてもらうかの目安の1つは「症状があるかどうか」です。不整脈の症状としては、「胸がどきどきする」「胸に違和感がある」「息切れを感じる」「苦しくて動けない」「めまいがある」「気を失う」などがあります。

脈が遅くてめまい・倦怠感があるなどの不整脈症状が出る場合には、ペースメーカーを植え込めば症状は治ります。突然死の危険性や心室細動の発作を持つ方は、AEⅮを小さくして皮下に滑り込ませられるようにした植え込み型除細動器によって突然死を予防できます。脈が早い場合には、ほとんどは「カテーテル心筋焼灼術」(アプリケーション)によって根治できます。カテーテルアプリケーションとは、心臓の中で異常な脈が早く出てくる場所を見つけ出して、そこに弱い電気エネルギーを与えて不整脈を消滅させる方法です。

心房細動はなぜ怖いのでしょう?心房にできた血栓が原因で自覚症状がなく、突然に脳梗塞を発症します。60歳でだんだん増加し、70歳以上では30%くらいの発症率です。自覚症状はありませんが自分で発見できます。まず、脈を取ります。脈の間隔がトントンントントンのように脈が抜ける場合の不整脈ではなく、脈がバラバラになる場合が心房細動です。脈がバラバラの場合は症状がなくても治療が必要です。

短時間の心電図では発見することが出来ないことが多いので、ホルダー式心電図を使います。左房がほとんど収縮しない場合、血液がうっ血して血の塊が出来てそれが剥がれて移動すると脳血管をふさぎ、脳梗塞となります。血栓の大きさが問題です。ラクナ梗塞<アテローム血栓<心原性脳梗塞。心原性脳梗塞は寝たきりか死亡となります。心房細動は自分で発見できます。まずは脈を毎日取りましょう。(高橋)