東京医科歯科大学病院の公開講座に行きました(第2回)

東京医科歯科大学病院の公開講座に行きました(第2回)

心房細動の薬は抗凝固剤です。ワーファリンや新しいNOAⅭ(プラサキサ、イグサレルト、エリキュウス、リクシアナ)などですが、脳出血が起こる可能性があるため、納豆が食べられません。3~4時間ですぐ効きます。食事制限は他にはありません。心房細動をもとの正しい脈に戻す治療(心房細胞根治療法)がカテーテルアプリケーション法で拡大肺動脈隔離術と言い、薬は中止できます。他に高周波エネルギー、冷凍バルーン、ホットバルーン、レーザーバルーン(内視鏡下)があります。

心臓病には、狭心症や弁膜症など様々な種類の病気があります。狭心症はニトログリセリンが有効ですが、心筋梗塞には無効です。心筋梗塞にはPTⅭA(経皮的冠動脈形成術)~ステント術(薬剤溶出ステント)では再狭窄率は30~50%に減少します。冠動脈バイパス術(ⅭABG)は新しい血管を吻合して心筋に動脈血を流します。冠動脈狭窄→心筋虚血→狭心症・心筋梗塞→内科的治療が困難な症例に適応します。

心臓弁膜症はワーフアリンを一生飲むと言われますが、生体弁ではワーフアリンは飲まないが10~15年くらいで交換の手術をします。若い人では5年くらいで再手術になります。65歳前後での手術が適応でウシ弁とブタ弁があります。機械弁は耐久性に優れていてワーフアリンは飲まないとだめです。

冠動脈バイパス術:心臓の筋肉に血液を送る冠動脈という細い血管が動脈硬化のために狭くなる病気が狭心症で、胸を締め付けられるような痛みが起こります。進行すると心筋梗塞を起こし命にかかわりますので、そうなる前に冠動脈バイパス術が行われます。狭くなった冠動脈の先に新しい血管をつないで血液の流れを回復させる手術です。直径1~2mmの細い冠動脈に髪の毛のように細い糸を使って丁寧に血管を繋ぎます。この手術は9割以上の患者さんで心臓を止めることなく動いたままで行う事(オフポンプバイパス術)で手術の負担を軽くしています。最近では狭くなった冠動脈を直接広げるカテーテルの治療が進歩してきましたが、重症な患者さんには効果の確実なバイパス手術が推奨されます。

弁形成術:心臓の出入り口にあるドアのような働きをしている弁膜が、閉まらなくなったり狭くなったりする病気が、弁膜症です。最初は、息切れ、動悸、の症状がでますが、病気が進行して心不全になると、浮腫みが出てきて、呼吸困難になります。こうなると、もはや手術しか治せる方法がありません。10年以上前までは、人工弁に取り替える弁置換術が主流でしたが、最近では、できる限り自分自身の弁膜を修理して治す弁形成術が行われるようになっています。

補助人工心臓:心筋梗塞や心筋症で心筋の力が弱くなって治しようのない心臓には、以前は治療の方法がありませんでした。数年前までは大型の機械が必要でしたが、最近では、小型の植え込み型補助人工心臓が使えるようになりました。定期的なバッテリーの交換が必要ですが、退院してご家族と過ごすこともできますし、仕事に復帰することもできます。(高橋)