大腸がんの術後補助化学療法:ステージⅡで再発の危険性が低い場合は経過観察。ステージⅡで再発の危険性が高い場合とステージⅢは原則6か月の補助化学療法。再発の危険性は、手術標本の病理検査の結果などをもとに判断されます。ボーダーラインは切除可能がんが3個以内5cm未満では手術して化学療法、4個以上5cm以上では化学療法して手術して化学療法です。がんの薬物療法の目的は①がんを完全に治すことを目指す②がんを治すことは無理なのでうまく付き合っておくことを目的とする延命目的、緩和目的。
大腸がんの化学療法に使用される主な薬剤:殺細胞性抗がん剤には①5-FU系抗がん剤(フルオロウラシル(5-FU)注射薬、テガフール・ウラシル配合剤(UFT)飲み薬、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(S-1)飲み薬、カペシタビン飲み薬)②イリノテカン注射薬③オキサリプラチン注射薬④トリフルリシン・チピラシル塩酸塩配合薬(TAS-102)飲み薬分子標的薬にはセツキシマブ注射薬、パニツムマブ注射薬、ぺパシズマブ注射薬、ラムシルマブ注射薬、レゴラフェニブ飲み薬
転移・再発を起こした大腸がんの化学療法の主なレジメン(レジメンとは、使う薬剤とその組み合わせ、投与する量、投与する時間や間隔など、「レシピ」のようなものです。)
FOⅬFOⅩ療法は5-FU+ロイコポリン+オキサリプラチンを2週間おきに48時間かけて点滴します。ⅭapeОⅩ療法はカペシタビン+オキサリプラチンの点滴を約2時間かけてカペシタビンは内服(1日2回)1日目に点滴して2週間内服してその後1週間休みます。SOⅩ療法はS-1+オキサリプラチン、点滴は約2時間かけてS-1は内服(1日2回)1日目に点滴して2週間内服してその後1週間休みます。FOⅬFIRI療法は5-FU+ロイコポリン+イリノテカンを48時間かけて2週間おきに点滴します。IRIS療法はS-1+イリノテカンを約2時間かけて点滴し、S-1は内服(1日2回)2週間お気に点滴2週間内服してその後2週間休みます。FOⅬFOⅩRI療法は5-FU+ロイコポリン+オキサリプラチン+イリノテカンを2週間おきに約50時間かけて点滴します。UFT+ⅬV療法はUFT+ロイコポリンを1日3回4週間内服し、その後1週間休みます。カペシタビン療法はカペシタビンを1日2回2週間内服してその後1週間休みます。S-1療法はS-1を4週間1日2回内服してその後2週間休みます。TAS‐102療法はTAS-102を内服(1日2回)5日間内服し、2日間休薬し、2回繰り返してその後2週間休みます。
抗EGRI抗体薬のセツキマブは抗がん剤の前に1~2時間かけて点滴を1週間おきに、パニツムマブは抗がん剤の前に1~2時間かけて点滴を2週間おきにします。抗VEGF抗体薬のべバシズマブは抗がん剤の前に30~90分かけて点滴を2または3週間おきにします。抗VEGFR-2抗体薬はラムシルマブを抗がん剤の前に約1時間かけて点滴を2週間おきにします。マルチキナーゼ阻害剤はレゴラフェニブを1日1回3週間内服しその後1週間休みます。
EGFR:上皮細胞増殖因子受容体VEGF:血管内皮増殖因子VEGFR:血管内皮増殖因子受容体*セツキシマブ、パニツムマブは、RAS遺伝子に変異がない(野生型)患者さんのみが対象となります。(高橋)