どのような検査で大腸がんと診断されるのですか?
大腸がん検診(便潜血検査)が陽性の場合や、血便や便通異常などの自覚症状がある場合には、内視鏡検査を行い、大腸がんがあるかどうかを診断します。その他、がんの進み具合を調べるためにⅭTやⅯRIなどの画像検査も行います。
大腸内視鏡は肛門から内視鏡を入れて大腸の中を詳しく観察します。がんを疑う病変が見つかった場合には、内視鏡の先端から出した鉗子という道具で病変の一部を採取し(生検)、顕微鏡で組織を調べます。(病理検査)。そこでがん細胞が確認されれば大腸がんの診断が確定されます。がんの深さや詳しい場所を調べるため注腸造影(大腸バリウム)、腫瘍マーカー(血液検査)をします。大腸がんの確定診断後は、胸部・腹部のⅭTをして、がんの広がりを調べます。リンパ節転移、他の臓器への転移の有無を調べ、必要に応じてⅯRI、腹部エコー、PETなどの検査をします。このような一連の検査は、大腸がんの進み具合(病期)を正しく診断し、適切な計画を立てるためにとても必要です。
大腸がんの病期(ステージ)について
大腸がんの進み具合は、がんの深達度、リンパ節転移の程度、他の臓器への転移の有無によって、5段階の病期(ステージ)に分類されます。治療を進めるにあたって、まずはがんの進み具合を正確に知っておく必要があります。
大腸の粘膜に発生した大腸がんは、最初のうちは粘膜の表面にとどまっていますが、徐々に大きくなるとともに大腸の壁の奥深くに食い込んでいきます。がんが大腸の壁に食い込んでいくことを「浸潤」と言い、この食い込みの程度を「深達度」といいます。
大腸の壁はおおむね5層に分かれています。がんが粘膜内、または粘膜下層までにとどまっている場合を早期がん、固有筋層より深い所に達している場合を進行がんと呼びます。
がんが大腸の壁に深く食い込んでいくにつれて、大腸の壁の中にあるリンパ管や血管にがん細胞が入り込み、がんが発生した場所(原発巣)以外の場所に”飛び火”することを「転移」といい、転移した先で大きくなったがん細胞を「転移巣」と呼びます。転移の仕方(経路)には、大きく分けて以下の3種があります。
- リンパ行性転移:がん細胞がリンパ管を伝って生じる転移。通常、まず原発巣に最も近いリンパ節に転移し、そこから次のリンパ管に転移し、そこから次のリンパ節に流れて増殖していきます。
- 血行性転移:がん細胞が血液の流れに乗ってほかの臓器に転移すること。大腸の血液はまず肝臓に集まることから、大腸がんでは肝転移が最も多く、次に多いのが肺転移です。その他骨や脳に転移することもあります。
- 腹膜播種:大腸の壁を突き破って外側に顔を出したがんから、がん細胞がお腹の中(腹腔内)に種をまくように散らばって生じる転移。大きくなるとしこりをつくって便の通りを悪くしたり、表面からがん細胞を含む水(腹水)を出したりするようになります。(高橋)