成人の喘息の定義:気道の慢性炎症を本態とする臨床症状として変動性をもった気道狭窄で喘息呼吸をする症状です。喘息のもとは気道の慢性的な炎症です。肺に通じる空気の通り道を気道と呼びます。炎症とは、気道の表面の粘膜が剥がれ落ちて過敏になり、正常な状態に比べて赤くむくんで気道が狭くなっていることで気道が狭くなっている状態のことで、呼吸の際の刺激で発作が起きたりします。
慢性炎症と言っても、風邪や肺炎、いわゆる感染症で起きる炎症もあれば、アレルギーで起きる炎症もあります。白血球も炎症に関係します。白血球の中には好中球と好酸球と呼ばれるものがありますが、肺炎などは好中球が、アレルギーは好酸球が主に関連しています。このように炎症の原因は大きく2つに分けられますが、成人の喘息は、アレルギーによる気道の慢性炎症が主な原因です。「変動性を持った気道の狭窄」が症状の特徴です。気道が狭くなったり広くなったりする。つまり、良くなったり、悪くなったりを繰り返すという事です。何かのタイミングで気道がギュッと縮まり、そして何かの時にはまた開く。こういった変動性をもって気道が狭くなる病気、これが成人の喘息です。
大切な日ごろのコントロール:喘息という病気は一般的には高血圧や糖尿病、いわゆる慢性疾患、成人病と同じような病気と捉えて治療を受けましょう。一般的にはこれら生活習慣病は、日頃からしっかりとコントロールするという考え方が大切です。たとえば、高血圧なら血圧を、糖尿病なら血糖値を抑えることを日頃からしっかりとやる。それによって将来的な大きなリスク、高血圧の場合だと脳血管障害などといった合併症を起こさせないようにする。これが大切です。喘息も同様に継続的な治療が必要です。
一方、喘息と高血圧や糖尿病には異なる面もあります。高血圧や糖尿病はよほど重くならない限り痛い、苦しいといった症状は出ないのですが、喘息の場合は咳や息苦しいといった症状があります。このように喘息は症状が目立ちやすいという特徴があります。また、生活習慣病と同様にちゃんとしたコントロール指標もあります。たとえば、吸って吐いての呼吸機能をしっかりと正常に保つ、あるいは気道の症状をしっかりと抑えるといったことです。こういうことを日ごろからしっかりと行っていないと喘息によって亡くなることもありますし、慢性呼吸不全といった病態になる可能性も高まります。
喘息の場合、どうしても「ヒューヒュー、ゼイゼイ」といった症状に目がいってしまいがちになります。それも仕方がないと思いますが、まずは呼吸機能や炎症のコントロールをしっかりやる。そういうことでは高血圧や糖尿病の治療と一緒です。(高橋)