花粉症と喘息について。世界的な調査で、人口の何%の人が喘息かということと、何%の人がアレルギー性鼻炎なのかということを比較したものを見ると両方の病気の合併率が高いことが分かります。アレルギー性鼻炎と喘息は関係しているのです。
日本のアレルギー性鼻炎の有病率は、人口全体で見ると40%ぐらいあり、しかも1998年から2008年の約10年間で10%以上増えています。花粉症に限るとだいたい人口の30%の人が症状を持っているという事ですので、やはりこれは国民病といわれてもしょうがないのかもしれません。そして、アレルギー性鼻炎患者の方は、後々喘息を発症しやすいと言われています。花粉症等のアレルギー性鼻炎を持っている人が喘息を発症する確率は、そうでない人の約4倍も高くなります。そのため、データで見ると喘息の患者さんのだいたい3分の2がアレルギー性鼻炎を合併していることが分かります。
また、アレルギー性鼻炎は喘息を悪くしてしまいます。それは鼻が詰まって口呼吸になってしまうことも原因になります。普通の人は普段、鼻呼吸をしています。鼻呼吸は肺を守るためにすごく重要です。口で吸うことと鼻で吸うことの一番の違いは鼻には鼻毛があるということです。鼻毛で外側から来たいろいろなほこりを落として、直接汚い空気が肺に入らないようにしています。実は鼻が外気の汚れから身を守る一番目の防御機構なのです。
そして、もう一つ重要な役割が鼻にはあります。それは、加湿です。口で吸うと乾いた空気がそのまま肺に入るのですが、はなを通して呼吸すると、鼻の中でほこりが落ち、ある程度の加湿も出来るのです。そういう意味で鼻呼吸はすごく大事です。ですが、アレルギー性鼻炎等の理由で鼻が詰まってしまうと、どうしても鼻呼吸が出来なくなり口呼吸になってしまいます。これが喘息を悪くしてしまいます。ですから、喘息の治療は鼻の治療もしっかりとやった方が良いという事になります。
喘息は子供が掛かる病気だと思われていますが、実はそうでもありません。喘息の患者さんがどの年齢に多いのかというと、もちろん子供が圧倒的に多いのです。子供の有病率は10%ぐらいですから、多いのは当たり前です。また、子供の時は男の子の方が発症しやすいという特徴があります。さて、成長するとともに喘息の患者さんは減っていくのですが、高齢者になるとまた増えます。しかも今度は女性の方が発症しやすくなります。大人になってから風邪などを繰り返したりした結果、喘息を発症することが結構あります。(高橋)