口から食べる幸せを守る(第4回)

口から食べる幸せを守る(第4回)

3 安定した姿勢(顎が上がらない、両方の肘をテーブルのに乗せる) 

   摂食嚥下機能や姿勢によって摂食角度の調整が必要です。特に、顎が上がったり、横を向いたり、過度に前屈みになるような食事姿勢や介助は誤嚥を引き起こしやすく危険です。両肘がテーブルに乗るようにすると、基底面積が広くなり安定した姿勢となります。

    食事摂取中は必ず姿勢が崩れるということを念頭におき、随時、安定した姿勢を保つような注意が必要です。傍介助しているだけでは安定した姿勢を客観的視することが難しいため、一旦患者さんから離れてみて全体を見るようにするとよいでしょう。そのことで、首が上を向いている、片方の手が下がっている、体幹がねじれているなどのことが目視でき、修正点が焦点化されます。

 4.食事と摂食用具の選択

    安全な摂食訓練や食事介助を行うためには、摂食嚥下機能に合わせた食事形態や道具の選択が必要です。また、補食における開口、口唇閉鎖力、動作などに応じた用具を選定します。摂食動作を拡大していきます。さらに、安定した上肢の機能を発揮できるよう、肘がゆったりと載せられるテーブルの使用も欠かせない要素です。

  5.誤嚥を予防する介助方法

     介助の仕方によって、誤嚥を引き起こしたり予防したりと結果が変わってきます。要介護高齢者は「誤嚥しているかもしれない」と想定した介助方法が必要です。環境設定に加えて、顎を上げさせていないか、ちゃんと見せているか、食べ物が口に入っている時に不適切な声かけや話をしていないか、喉に残っていないにも関わらず次の一口を入れないままで食事時間の延長をきたしていないか、一口量が多くないか、介助ペースがはやすぎないか、むせた時に息を吸い込ませていないか等をよく考えて介助しましょう。

    包括的食支援促進ツール使用による多職種連携

  心身の機能が低下し食べる機能が衰えたり、認知症や脳血管障害があったりする方は、食べ物や飲み物をうまく飲み込めずに、食べる量が減ったり、誤って気管に入って肺炎(誤嚥性肺炎)や窒息をおこすリスクが高くなります。しかし、食べる意欲、全身状態、呼吸ケア、口腔衛生、認知、咀嚼、送り込み、嚥下、姿勢調整、摂食動作、活動性、食物形態、栄養などを多面的・包括的に観察しながら、丁寧に多職種でアプローチすることで、安全に口から食べていただくことが可能となる場合も少なくありません。

     人生の最期まで食べ続けられる社会であるために

   医療技術が進歩し、新しい栄養法の普及により、生命を維持できるようになったことは喜ばしいことです。しかし、食べることの大切さを、忘れてはいないでしょうか。食べられないという苦痛の極みにおかれている方々の「食べたい、味わいたい」という心からの訴えに、耳を傾けているでしょうか?

(高橋)