プラークの不安定化と破綻:プラークの破綻が起こるとプラークの細胞外基質であるコラーゲンと血流中の血小板が接触しせんが活性化されます。次にマクロファージや平滑筋細胞から分泌される組織因子によって局所の凝固系が活性化されます。その結果白色血栓が形成されます。血栓の形成により不安定狭心症を発症したり、完全閉塞に至れば心筋梗塞症を発症する。
薄い繊維性被膜(TⅭFA)の存在は動脈硬化破裂の前兆です。TⅭFAは脆弱性動脈硬化のサインです。TⅭFAは薄くなると心筋梗塞になりやすいです。
血栓溶解療法は心筋梗塞の治療目標は⑴迅速な再鎧流⑵責任冠動脈の血流を完全に再開⑶当該血管の微小循環を正常に戻すことである。血栓溶解療法は医師であればだれでも治療を開始でき、カテーテル治療と成功率は同程度であるが、完全血行再建成功率は(65%vs90%)であり、時に出血の合併症が発生します。
カテーテル治療による再潅流治療:心筋梗塞の冠動脈責任病変では冠動脈が閉塞~亜閉塞し、末梢の灌流心筋への血流が遮断され心筋壊死の進行する。再灌流療法としてのカテーテル治療の目的は心筋壊死の進行をくいとめることである。血栓溶解療法による再灌流では残存狭窄のため狭心症が残ることがあり、バルーンとステントを用いることによって残存狭窄を解除することができます。虚血性心疾患の侵襲的診断法は、冠動脈造影が行われますが繊維性被膜の厚さを測定することが出来ません。カテーテル検査である光干渉断層法(ОⅭT)を用いると繊維性被膜の厚さを計測できます。
虚血性心疾患の治療の目標:心筋梗塞症を発症すると、心臓の筋肉が壊死するため、ダメージが大きくなります。院内死亡率は6%程度にまで低下しましたが、ダメージの結果心不全に陥りやすくなるので心臓リハビリテーションを含め入院期間も長くなります。そのため早期診断をして治療を先行させる必要があります。(狭心症のうちに見つけましょう)まさに転ばぬ先の杖なのです。
心臓ⅭT検査はⅩ線ⅭTと造影剤を用いると心臓と心臓周囲の血管を造影することができます。心臓ⅭTでわかる事①冠動脈内腔の狭窄度(治療後の状態もわかります)②冠動脈外径の太さ(リモテリング)③冠動脈の石灰化の度合い(カルシウムスコア:動脈硬化が強いほど石灰化が多くなります)④冠動脈硬化プラーク(粥腫)の有無。ⅭT検査の利点のもう一つは冠動脈に付随する動脈硬化病変(プラーク)を写すことが出来ることです。更にそのプラークのⅭT値を測定してプラークの性状(安定型なのか?不安定型なのか?を予測する試みがなされています。)一般的に低いCT値を持つプラークを患者さんの心事故が多いと報告されています。(高橋)