内視鏡治療を受ける際の注意点:事前に、常備薬(普段飲んでいる薬)を担当医にきちんと伝える。内視鏡治療の後はいくつかの制限がある。しばらく(1~2週間が一般的)は、海外出張や旅行は控える。また、激しい運動も約1週間は避ける。
大腸を見る検査:①注腸造影②CT③カプセル内視鏡④大腸内視鏡・・大腸内視鏡はすべてできる検査、治療、手術で、病変の発見は内視鏡を引き抜く時に発見します。前処置として下剤は重要で、分かりにくい病変も発見できます。画像強調観察(NBI)は拡大観察してがんは血管が太くなり、赤血球の流れが悪くなります。他色素拡大観察もあります。将来の展望としては人工知能を用いた自動診断です。
どのような手術が行われ。術後の生活にどんな影響がありますか?大腸がんの手術の基本は、がんがある部分を含む腸管の切除とリンパ節郭清です。最近では、腹腔鏡手術も増えています。結腸がんの手術では術後の生活にほとんど影響はありませんが、直腸がんの手術では、排便習慣の変化や排尿機能・性機能の障害などの後遺症が起こる場合があります。
大腸がんの手術の基本は、①がんのある部分から十分な”安全域”をとって大腸を切除し、②転移している可能性がある範囲のリンパ節を切除(リンパ節郭清)し、③残った腸管同士をつなぐ(吻合)の3つです。手術は全身麻酔で、行われ、手術時間は3~4時間程度です。術後の経過が順調であれば、入院期間は約2週間です。
結腸がんの手術では、がんから口側・肛門側にそれぞれ約10cm離して大腸を切除します。さらに、がんが転移している可能性のある範囲のリンパ節を郭清し、その後、残った大腸同士をつなぎあわせます。約20cmの大腸を切除しても、栄養の消化・吸収には影響なく、ひどい下痢になることも通常ありません。標準的なリンパ節郭清を行った場合でも、身体への影響はほとんどありません。退院後も運動や食事の制限はなく、日常生活に影響を受けることはほとんどありません。
直腸がんの手術は、肛門を残す「括約筋温存手術(前方切開術)」と、肛門を残さない「直腸切断術(マイルズ手術)」の2つに大きく分けられます。直腸切断術では、肛門の代わりとなる便の出口として人工肛門(ストーマ)を作ります。肛門の入口からがんまで約6cm離れていれば、原則として肛門を残すことができます。最近では手術技術が進歩し、より肛門に近いがんでも肛門が残せるようになりました。ただし、肛門が残っても、直腸の大部分が切除されると十分に便を溜められないために、便の回数が増えたり、排便を我慢できなくなったりします。また、骨盤内の直腸の周りにある泌尿器・生殖器の機能を司る自律神経が手術でダメージを受けると、排尿や性機能が障害されることもあります。
腹腔鏡手術とは、お腹に1㎝程度の穴を4~5個開けて、そこから専用の筒状のカメラ(腹腔鏡)と専用の手術用具をお腹の中に入れて行う手術方法です。お腹の中で行われることは、通常の開腹手術と同じです。通常の開腹手術に比べて傷が小さくて済むため、手術後の痛みが小さく、身体の回復が早く、入院期間も短くて済むといった利点があります。一方で、高い技術を必要とし、開腹手術よりも手術時間が長い傾向があります。
大腸がんの手術では、以下のような合併症が起こることがあります。①縫合不全:縫い合わせた腸がうまくつながらず、そのため、縫い目のほころびから便がお腹の中に漏れ出すこと。結腸がんの手術では約1、5%、直腸がんの手術では約5%に起こるされています。②腸閉塞(イレウス):手術の影響で腸がうまく働かず、便の通りが悪くなった状態のこと。③創感染:手術したお腹の表面の傷が化膿する(うんでしまう)こと。大腸の中は細菌が多いため、大腸がんの手術では約10%に起こります。(高橋)