人工関節手術のスケジュールは手術1~2日前に入院して、手術は1時間半~2時間で、1~2日で歩行開始。術後は足の位置や日常生活の制限はなく、正座や足を組むこともできるそうです。個人差もあるが、1週間でも退院可能とのことです。
人工関節の進歩により、長期成績が向上していて、95%くらいの人は20年以上安定しているとのことです。
人工股関節置換術の進歩え安全、安心に痛みのない歩行が可能になりました。長期成績の向上、入院期間の短縮から高齢者のみならず、40~50歳台の患者さんも増えているとのことでした。
人工膝関節術の方法は変形した膝関節を切除して大腿骨側に大腿骨コンポーネントを設置して、膝骨側も傷んだ軟骨を切除して膝骨コンポーネントを設置する方法です。人工膝関節置換術の効果としては、正座は無理だが、痛みなくよく動くようになり、外見上ではO脚がまっすぐになり身長も伸びます。入っていることを忘れる程違和感もなく、痛かった関節を元の状態にするので、痛みのない歩行ができて生活の質(QOL)の向上が期待できます。
単顆片側置換術は初期の内側だけ悪い膝なら内側のみ人工関節に置換できます。片側の関節面に限定した摩耗、破壊があり、変形が少ないものが適応となります。切開も小さいので低侵襲で、術後の回復も早いが適応が限られます。
機材の改良と手術手技の改良で、屈曲向上への進歩で、正座は困難だが自転車こぎ・畳からの立ち上がりは可能です。手術前の状態により基本的には洋式の生活が望ましいとのことでした。かなり摩耗をきたしての手術だと術後の状態も良くないとのことでした。
術中の出血の対策としては、人工股関節置換術では希望があれば術前に自分の血液を貯血(貯血式自己輸血)して、手術の時に戻します。人工膝関節置換術は術中駆血、術後ドレーンクランプでほぼ輸血の必要はありません。ほとんどの場合、他人の血(献血で集められた血)を輸血することはないそうです。
人工股関節置換術の麻酔は全身麻酔+硬膜外麻酔で、膝関節置換術は全身麻酔+超音波ガイド下神経ブロックをするそうです。硬膜外麻酔や超音波ガイド下神経ブロックは術後の除痛にも有効で、以前と比べると術後の痛みは軽減されたそうです。
術後の生活は、基本的には何でも可能で、手術前には痛みのため困難であった、趣味・旅行・散歩・買い物等に出けられ、痛みなく歩けることが人工関節の目標とのことでした。筋力維持のためにも運動は良いことだが、マラソン・登山・テニスなどはあまり勧められないとのことでした。(高橋)