肺がんの薬物療法で現れる主な副作用と対処法
吐き気・嘔吐、食欲不振:制吐剤(吐き気止め。ステロイドやセロトニン受容体拮抗薬など)をあらかじめ処方してもらい、服用する。吐き気を感じたら、冷たい水などでうがいする。治療当日は乳製品や脂っこいものを避ける。食欲が少しあれば、少量ずつ何回かに分けて食べる。食べられないときにも水分を取る(冷たい飲み物は避ける)。香りのきつい環境や食べ物は控える。お腹がきつくならない服装をする。
下痢:整腸剤を飲み、水様性の下痢が続くときには下痢止めを飲む。温かい飲み物をこまめに飲み、アルコールやカフェイン、香辛料、繊維の多い食品を避ける。肛門部を清潔に保つ。
白血球・好中球・血小板減少:自覚症状がないことが多いが、血液検査でわかる。感染しやすくなるため、こまめなうがい(冷たい水は避ける)、手洗い、シャワーや入浴、起床時・食後・就寝前の歯磨きで予防する。人混みを避け、外出時はマスクを着用する。けがや火傷に注意する。けがや火傷に注意する。発熱や悪寒、排尿痛があれば、診察を受ける。鼻血が出やすくなったり、歯肉から出血しやすくなったりしたら病院へ。
貧血・全身倦怠感:疲れを感じたら、休息を取る。軽い運動や家事を少しだけやってみると倦怠感が緩和されることもある。車の運転は避ける。
末梢神経症状:手足や唇のピリピリした感じ、しびれがあれば、担当医に。冷たい物を触らず、温かい飲み物・食べ物を摂る。スリッパ、靴下、手袋で手足を温める。ビタミン剤や漢方薬が効く場合もある。けがややけどをしても気づきにくいので、気をつける。牡丹をかけられない、お箸が使いづらい、字が書きにくいときには休養する。車の運転はしない。
関節痛・筋肉痛:患部をマッサージしたり、温冷の湿布で心地よく感じるものを使ったりする。ひどい場合には鎮痛薬を使う。
消化管穿孔:血便、タール黒色便、強い腹痛があれば、すぐに診察を受ける。緊急手術になる場合もある。
手足症候群:皮膚を清潔に保ち、クリームなどで保湿する。手袋や軍手、厚手の靴下で手足を保護する。きつい靴や硬い靴、密着する下着や洋服、長い時間の歩行・立位、ジョギングやエアロビクスのような足への衝撃、ねじ回し・包丁・ナイフ・シャベルでの作業、シャベルでの作業、紫外線、熱いお風呂やシャワーを避ける。
脱毛:治療前にあらかじめ髪を短くしておく。帽子やシャワーキャップ、ナイトキャツプで髪の毛の散らばりを防ぐ。洗髪のときに頭皮を傷つけないように爪を切って置く。必要であれば、バンダナやかつらを使う。
間質性肺炎:発熱と息苦しさ、空咳が続く場合は、病院へ。ステロイド薬の服用などで治療する。がんの薬物療法の中止も検討する。
皮膚症状:ふだんから皮膚を清潔に保ち、クリームやローションで保湿のケアをしておく。ニキビのような発疹や皮膚の乾燥、炎症といった症状が出てきたら、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬で対応する。熱いお風呂、直射日光は避ける。色素沈着は皮膚科に相談する。
こんな症状が出たときには、すぐ病院へ連絡を!
38℃以上の発熱や息苦しさ、空咳が続く
高血圧(収縮期血圧160mmH以上、拡張期血圧100mmHg以上)か、それと吐き気、頭痛、胸・背部痛、呼吸苦、めまいなどを伴う
下痢がひどく、水分も取れない
出血が止まらない
手足のビリビリ感、痛みがある
夜間・休日の緊急時の連絡先と連絡方法を、分かりやすい場所に貼っておきましょう。(高橋)