直腸がんに対するロボット支援下手術について。
大腸がんは増加傾向にあるがある程度予防できます。5年生存率は直腸がん1期100%Ⅱ期92%Ⅲ期83%Ⅳ期17、8%。結腸がん1期97%Ⅱ期87,3%Ⅲ期79,3%Ⅳ期18,7%です。
内視鏡切除の限界は粘膜、粘膜下層までで、切除できる深さに限界があります。リンパ節転移の場合は不可能です。転移は①遠くの内臓に転移②リンパ節転移③腹腔内に散らばるように転移(腹膜播種)があります。手術治療の原則は大腸がんを切除し、転移の可能性のあるリンパ節は予防的に切除します。
がんの病理分類と治療では、ステージⅠ内視鏡治療、ステージⅡ手術、ステージⅢ(リンパ節転移)手術+補助療法(抗がん剤治療+放射線治療)ステージⅣ(遠隔転移)補助療法のみ。
手術において何を優先するか?⑴安全性⑵しっかり切除⑶QOⅬで必ずこの順番で優先されます。
直腸がんの術後に起きうるQOⅬを損なう原因。がんが肛門に近いほどこれらの出来事が起こりやすくなります。①食事、だんだんほぼ術前と変わらなくなります。②排泄、下痢と便秘、便通異常③人工肛門(ストーマ)の可能性(一時的、永久的)④排尿障害⑤性機能障害⑥再発
3つの直腸がん手術⑴開腹手術、傷が大きい、触覚に優れ術操作が容易⑵腹腔鏡手術、傷が小さい、触覚に鈍く細かい操作に技術を要します。術者の目から手術の部位まで10cmくらい離れています。しかし患部の拡大観察が可能です。術後の痛みが小さく、開腹が早いです。⑶ロボット手術、傷は小さい、7つの関節のついた3本のアームにより細かい操作が可能です。3Ⅾでの詳細な患部の観察もできます。手術用ロボットは手ぶれ防止機能による安定した手術です。220万の治療費がかかるがロボット手術の方が出血量が少なく、入院期間が短く、排尿障害が少ないです。
開腹がいい場合は周囲に浸潤している場合と過去に手術した人は癒着しているためです。ロボット手術の良さはがんが大きい場合、お尻に近い場合は腹腔鏡手術よりいいです。腹腔鏡ではがんの向こう側までは見えないからです。(高橋)