次に血液曝露事故への対応についての説明がありました。
血液曝露事故の防止については、①血液曝露事故がおこるパターンを良く認識すること②医療行為におけるスタンダードプリコーションの実践(採血業務は日常頻回に行われてるにも関わらず、スタンダードプリコーションが実践されていないのが現状)
血液曝露事故から自分を守るには、まず血液媒介感染症についての説明がありました。HIV・・・感染率は低いが、ゼロではない。現時点では治癒しない。HBV・・・感染率が高い。慢性化率は低かったが、最近高くなってきた。慢性化すると肝硬変、肝がんのリスクがある。HⅭV・・・感染率が低い。しかし、感染すると高率に慢性化。慢性化すると肝硬変、肝がんのリスクがある。感染症検査の結果は絶対ではない。(偽陰性、疑陽性)・・・血液曝露事故をおこしたら、速やかに適切な対応をとることが重要です。曝露1回あたりの感染リスクから見ると、感染確率を考えると、HIVを特別に恐れるのは的外れです。
職業上曝露事故におけるHIV-PEP(曝露後予防内服)のエビデンスはほとんどありません。確かなことは、感染リスクはとても低いということです。AZTの予防内服で感染リスクを80%低下できます。2剤以上の予防内服はそれ以上の効果が期待できます。感染リスクを低減できる可能性があるのは、曝露後の限られた時間以内ですので、可能な限り速やかに、初回内服を開始すべきです。
もし曝露事故が起こってしまったら、曝露部位を大量の流水と石鹸で洗浄して、眼に入った場合には、大量の流水で洗浄します。以下の対処は有効性が証明されていないので、特に不要・・・負傷部位からの血液の絞りだし、消毒剤使用。口腔粘膜の汚染はポピドンヨード含嗽水で口をすすいでもよいそうです。
曝露事故後の予防内服の決定は「事故者」が予防内服するかどうか決定します。曝露の状況は本人にしかわからないことです。針刺しか、経粘膜曝露か?体内への血液、分泌液の注入の有無。傷の程度。事故からの経過時間。感染した曝露減の状態・・・HIV判明の有無、HIVの進行度(ウイルス量)、耐性ウイルスの可能性があるか?医療者による感染のリスクと予防内服の推奨度の説明を受け、事故者が決めます。(高橋)