大腸がんの放射線療法は、がんの三大療法の一つで、がん細胞を死滅させるために高エネルギーの放射線を照射する治療法です。大腸がんでは、主に直腸がんに対して、手術前にがんを小さくして人工肛門を回避したり、術後の再発を抑制したりする目的で行われます。(補助放射線療法)身体の外から直腸とその周囲に放射線を照射します。化学療法と併用する場合がほとんどで、週5回×4~5週間、合計40~50グレイ照射するのが一般的です。
手術で切除するのが難しい骨盤内に再発したがんや、骨や脳に転移したがんに対して、痛みや不快な症状を抑えるために放射線を照射することもあります。細菌では一部の専門施設で先進医療として陽子線や重粒子線を用いた治療も行われています。放射線療法には、照射が可能な部位とそうでない部位があり、特有の副作用もあります。(腸炎による下痢、膀胱炎、皮膚炎など)。
セカンドオピニオンとは?担当医から説明された診断や治療方針に納得がいかないとき、さらに情報が欲しいときには、別の医師に意見を求める「セカンドオピニオン」を利用する方法があります。セカンドオピニオンを受けたいときには、担当医に紹介状や検査記録、画像データなどを用意してもらう必要があります。利用にあたっては担当医のファーストオピニオンをまずはしっかり聞くこと、セカンドオピニオンの内容は担当医に伝え、もう一度治療方針についてよく話し合うことが大切です。セカンドオピニオン外来のある病院の情報は、近隣のがん診療連携拠点病院の相談センターで得られます。予約が必要、あるいは有料の病院が多いので、セカンドオピニオンを受ける病院には事前に受診方法と費用を確認しましょう。
大腸がんの内視鏡治療とは?内視鏡治療では、お腹に傷をつけることなく、大腸内視鏡を用いてがんを切り取ることが可能です。ごく早期の大腸がんであれば、内視鏡治療で完治します。切り取ったがんの病理所見により、追加の手術がすすめられる場合もあります。
内視鏡治療には、何といっても手術と違ってお腹に傷がつかないという利点があります。身体への負担が少なく、外来あるいは短期間の入院で行なえる治療法です。また、大腸の粘膜には痛みを感じる神経がないため、内視鏡治療では、がんの切除によって痛みを感じることはありません。内視鏡治療に適している大腸がんは、一般的に次のような条件に当てはまるものです。がんが粘膜内にとどまっている、または粘膜下層の浅い部分までにとどまっていると予想されるもの。無理なく1回で切除できる大きさのもの
内視鏡治療の方法:肛門から大腸内視鏡を挿入し、内視鏡の先端の穴から専用の器具を出してがんを切り取ります。切除の方法には、茎のある形のがんを切除する「ポリペクトミー」、平たい形のがんを切除 する「内視鏡的粘膜切除術(EⅯR)」、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESⅮ)」の3つがあります。ESⅮは、ナイフ状の内視鏡用電気メスでがんの周りの粘膜をぐるりと切ってがんの部分をはがし取っていく、新しい内視鏡の技術です。従来のEⅯRで切除できるものより大きながんでもきれいに一括切除できるという利点があります。2012年4月に保険収載となりましたが、高い技術を要するため一部の専門施設でのみ行われています。
内視鏡治療の合併症:まれに出血や腸管穿孔(腸に穴が開くこと)などが起こることがありますが、その頻度はいずれも約1%です。合併症が起こった場合は、入院が長くなることもあります。
内視鏡治療後に手術が必要になる場合:内視鏡治療の後は、切り取ったがん組織を顕微鏡で良く調べます(病理検査)。その結果、がんが粘膜内や粘膜下層のごく浅いところまでにとどまっていて、きれいに取り切れていれば、そのまま経過観察となります。一方で、がんを切除した切り口(断端)にがんが露出している場合や、がんが露出している場合や、がんが粘膜下層の深部まで達している場合、血管やリンパ管にがん細胞が入り込んでいる場合などは、リンパ節転移の可能性が約10%程度ある為、追加手術(腸管切除+リンパ節郭清)がすすめられます。ただし、病理検査の結果によつて、リンパ節転移の可能性の程度は異なります。これに加え、患者さん自身の考え、年齢、身体の状態(普段の活動や持病)などを総合的に評価し、手術を行うがどうかを決定することになります。(高橋)