痛みとうまく付き合うテクニック(第15回)

痛みとうまく付き合うテクニック(第15回)

圧迫骨折、ヘルニア等の新しい治療法 

 椎間板性腰痛のように、椎間板自体が痛みの主原因となっている場合は、ここに熱を加えることで神経を遮断して痛みを減らすという治療法も使っています。

 椎間板の出っ張りを特殊な電気メスで収縮させるやり方を取り入れています。神経の外側を取るのではなく、内側で椎間板の出っ張りを減らすようにしていきます。電気メスを使う方法で治療を受けた患者さんの中には、治療後、実際に椎間板の出っ張りが縮んだために、大きな手術を受けなくて済んだという方もいました。実際、最近は、「ワンクッション手術」といって、大きな手術をする前に小さな手術を行い、それで済むなら大きな手術はしなくていいという考え方が出てきています。

 ペインクリニックの治療は、それをしたからといって大きな手術ができなくなるものではありません。これだけ寿命が延びた現在、体の機能を最大限に残していくことも大切です。治療においても、次の一手がないという最後の手段は、文字通り一番あとに残しておいた方がいいわけです。

 新しい治療法で、自費治療ですが、神経周囲の組織が癒着して痛みが続く場合、神経を傷めない形で坐骨神経痛の癒着をはがす「ラッツカテーテル」という治療も始まっています。

 また「脊髄刺激療法」は、通常の神経ブロックだけでは痛みが取れない難治性の痛みに対して、脊髄に電気刺激を加える治療です。まず試しに刺激してみて、電気刺激が有効かどうかをテストし、有効な患者さんには本物の刺激装置を手術「」で埋め込みます。

 最近はこの電気刺激のやり方も、脊髄周りの硬膜外腔という空間にリード線を入れて、脊髄の外側から電気信号を加えて痛みを減らすという方法が使われるようになっています。(高橋)