東京大学公開講座に行きました(第2回)

東京大学公開講座に行きました(第2回)

もし、インフルエンザの予防注射をしていなくてインフルエンザ患者との接触があった場合は48時間以内に抗ウイルス剤の投与をすれば、感染予防になります。潜伏期間は2~3日です。しかし、あくまで予防ですので保険はききませんので自費治療になります。

予防注射をした方が良いのは、6か月から5歳未満のすべての小児、50歳以上のすべての人、慢性肺疾患、免疫抑制剤を飲んでいる人です。死亡者数は10歳以下と50歳以上が多く、がん罹患率も50歳以上、特に65歳以上では免疫低下しています。

新型インフルエンザの死亡者数はにほんでは6,3%で他の国よりかなり少ないです。予防投与はタミフル、リザベル、ラニサミがあります。発症した場合、早期に服用すると罹患期間の短縮になります。細菌性肺炎を併発することがあります。他の合併症としては筋炎、心筋炎、脳症があり、高齢者肺炎はインフルエンザ感染後微熱が続き、咳が持続し、呼吸が浅くなり時に早くなります。肺炎はペニシリンの投与が基本です。小児脳症は致死率が高いので、即座に受診しましょう。2009年の新型インフルエンザの流行時、感染しなかった人がいます。それは、過去に不顕性感染をした人で、抗体が出来ている人です。

インフルエンザはウィルスを吸入することで感染します。ウィルスが付着した手で鼻、目をこすらないようにしましょう。手洗いは重要です。咳が出そうになったらマスクをしましょう。迅速診断が必要です。感染後6~7時間で診断可能です。解熱して少なくとも24時間はウイルスが出ません。24時間は外出禁止です。

冬にインフルエンザの感染が増えるのは、空気が乾燥することでウイルスの水分も蒸発して空気中に長く留まりやすくなるとともに、乾燥を好むのでウイルスの感染力自体も強まります。さらに、空気が乾燥していると患者の咳やくしゃみの飛沫が小さくなり、飛沫に含まれるウイルスが遠くまで飛びやすくなることで、感染が拡大してしまうのです。

インフルエンザの予防対策としては、うがいや手洗い、ワクチン接種がおなじみですが、意外と知られていないのが「口腔ケア」による予防対策です。インフルエンザウイルスは、気道の粘膜に付着して増殖します。しかし、この粘膜にはタンパク質によるバリア機能があり、通常ではウイルスが容易に付着できないようになっています。ところが、粘膜を覆うタンパク質を壊し、ウイルスがのどの粘膜に侵入しやすくしてしまう物質があります。それが「プロテアーゼ」と呼ばれる酵素で、これを作り出しているのが口腔内に存在する細菌なのです。

したがって、この酵素を作り出す細菌を減らして、口の中を清潔に保つことがインフルエンザ予防にもつながることになります。そのためには、歯磨きはもちろん、虫歯や歯周病の治療、歯垢や舌苔の除去といった口腔ケアが重要となります。これからの季節、インフルエンザ予防対策として「うがい・手洗い・ワクチン接種」それに加えて「口腔ケア」を追加してみてはいかがでしょうか。(高橋)