昨年、健康講座に行きました(第3回)

昨年、健康講座に行きました(第3回)

喘息の原因について。喘息はどのように起こるのでしょうか?まず、ちょっとした刺激で咳や痰が誘発される「気道過敏性」という現象があります。

気道過敏性については、遺伝的に決められているといわれていますが、どの遺伝子が要因になっているのかがわかっていないので、遺伝病とは言えません。しかし、日本の人口の20%、つまり5人に1人の方は気道過敏性の遺伝的な背景を持っています。その方たちは何かのきっかけで喘息になってもおかしくない人たちです。

そして、過敏な気道にいろいろなものが襲ってきます。排気ガス、ダニ、他人のたばこの煙、かび、スギ花粉、動物のふけ、このような環境的要因に多くさらされると気道の炎症を起こしてしまいます。気道過敏性の保持者は人口の20%ですが、すでに気道の炎症を起こしてしまっている方は成人人口の5%ぐらいと言われています。そして、気道に炎症があると、何かがトリガーとなり発作が起きてしまいます。トリガーの例として圧倒的に多いのは風邪です。ものすごいストレスもトリガーとなります。また、アレルギーを引き起こす物質にとんでもない勢いでさらされた場合も発作が起きます。

おそらく遺伝的には5人に1人、20%の人が喘息になってもおかしくない。そして、喘息の有病率は成人で喘息の方は現在人口の5%です。子どもの喘息の場合は、おそらく8~10%だといわれています。子どもの時に喘息になった方で、大人になっても喘息のままの人は3分の1程度。そして、大人になるにつれて治癒していく人が3分の1程度。これをアウトグローと呼びます。残りの3分の1の方は、高校生・大学生ぐらいになっていったん喘息は治ったかのようにみえますが、大人になってからまた再発してしまいます。

ですから、喘息が完全に治る方は、小児喘息患者全体の3分の1だけなのです。成長しても喘息のままだったり、1度は落ち着いても何かのタイミングで再発してしまう方が3分の2ぐらいいるという事です。そしてすごく重要なのは環境因子です。喘息の患者さんに薬を出すだけの治療は、喘息の専門家でなくても医者ならだれでもいいですが、環境因子に着目してそれを見つけるのが大切です。

環境因子として圧倒的に多いのはペットです。タバコも多いです。ただ、ペットに関しては、そのことを隠す患者さんが多いです。なぜかというと、ペットのせいで症状が悪くなっていることを自覚しているからです。ペットのうち、犬を飼っている人は比較的素直に話してくれますが、問題は猫を飼っている人です。猫を飼っている人は最後の最後まで認めない。猫が症状悪化の原因であると、わかっているからです。

犬と猫の違いの一つに、猫は飼い主の布団の中に潜り込んでくることがあります。喘息は夜間に症状が悪化すると言われています。その時に、埃をたっぷり付けた猫が枕元にいたら、喘息はやはり悪くなります。ペットと適切な距離を保てるかどうかは、喘息治療にとってすごく大きなポイントです。(高橋)