医科歯科医療安全講習会に行きました(第8回)

医科歯科医療安全講習会に行きました(第8回)

内容抗真菌薬イトリゾールの相互作用(抗HIv薬との関連)について。本剤は肝チトクロームP450/3A4(ⅭYP3A4)と親和性を有するため、Ⅽyp3A4で代謝される薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性があります。併用禁忌:なし併用注意:サキナビル(フォートベイスカプセル)リトナビル(ノービア・ソフトカプセル)インジナビル(クリキシバンカプセル)ダルナビル(プリジスタ錠、プリジスタナイーブ錠)

カボシ肉腫について。免疫力の極度に低下したヒトの、血管内皮細胞に、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8:humanherpes-virus8,別名KSHV:Kaposi‘ssarcoma-associedHerpesvirus)が日和見感染し、発がんさせることにより発症します。病理学上は血管新生物の1つに分類されています。症状:最初は紅斑、紫斑、黒色を呈し、次第に盛り上がって癒合する。処置:全身状態の改善を優先するが、治療対象の場合は化学療法・放射線療法・インターフエロン療法・レーザー療法・女性ホルモンの局所注射など。

悪性リンパ腫について。概説;リンパ系組織から発生する悪性腫瘍です。悪性リンパ腫は、単一ではなく、多様な病型のリンパ系組織のがんの総称です。病型を大別すると、ホジキンリンパ腫(Hodgkin‘sⅬymphoma,HⅬ)と非ホジキンリンパ腫(nonHodgkin‘sⅬymphoma,NHⅬ)があります。欧米ではホジキンリンパ腫が多数を占めますが、日本人のホジキンリンパ腫は約10%であり、日本ではほとんどが非ホジキンリンパ腫で占めています。症状:AIⅮS患者における好発部位は中枢神経、皮膚、肺、副腎、肝臓などであるが、まれに口腔内に発症し、歯肉や口蓋などに腫瘤性病変を形成する。治療:化学療法、放射線療法。

その他のHIV歯周関連疾患は、帯状歯肉紅斑、壊死性潰瘍性歯周炎、ヘルペス性歯肉口内炎、難治性潰瘍、サイトメガロウイルス(ⅭⅯV)感染、毛状白板症、口腔感染症など。TEN(ToxicEpidermalNecrolysis)中毒性皮膚壊死融解症候群は表皮や粘膜が死んで広範囲に剥がれ、消化器症状や呼吸不全を起こすこともあり、死亡率は10~70%です。毛状白板症は、原因はEBウイルス感染に関連し、症状は舌辺縁部が好発部位で線状模様の白色波状盛り上がりが見られ、効果的な治療法はありません。

HIV感染患者さんの口腔内症状をまとめると、HIVに感染した直後は、「急性期」といって身体全体の免疫力が落ちるため、口腔内に何らかの症状が現れることが多いので、つまりは、HIV感染後に最初に症状が現れるのは口腔である可能性が高くなります。われわれは、口腔内を観察し、そのわずかな変化を全身の疾患について予測できる可能性があります。

肝炎患者さんの歯科治療で気を付けることは、肝臓に負担をかける抗菌薬の処方を行わないようにします。ペニシリン系、セファム系が望ましく、マクロライド系、ニューキノロン系はやめたほうが良いとのことでした。鎮痛剤については薬剤説明書にはもれなく、処方の禁忌として「重篤な肝障害のある患者さんに対しては副作用として肝障害が報告されており、悪化するおそれがある」の記載があります。絶対的に安全なものはないのだが,アセトアミノフェン、ロキソニンなどのNSAIⅮsを処方し、セレコックスは処方はやめたほうが良いとのことでした。なるべく短期の使用にとどめ、蓄積を起こさないようにします。(高橋)